庚申塔と講

 長沼には、いまも庚申が続いており、長沼コミュティーセンター前の庚申塔(写真)を守り続けている。60日に一回訪れる庚申の日には、5名のメンバーが当番宿に集まり、青面金剛と大山信仰が描かれた二つの掛け軸を拝んでいる

以前は、長沼に庚申講が五つあった。現在は、コミュティーセンター前の塔を守る講だけとなったが、集落内には三塔が残っている。

 庚申信仰は、庚申の日、眠っている間に、体内の三尸の虫が逃げ出し、その人の罪を天帝に告げるので、虫が逃げ出さないよう徹夜したとの道教の風習が始まり。豊作や福運を祈った。江戸時代に盛んになり、一晩飲み食いして、過ごした。庶民にとっては、格好のレジャーだった。

 青面金剛は、神道では「賽の神」の猿田彦とされ、塔が集落の境に置かれることもあった。また、庚申の祈りを318回行なうと塔を建てたことから、いまでも目にすることができる。

しかし、仲間が集まって、青面金剛の描かれた掛け軸を前に、祈りを捧げる講が残っている地域は少なくなっており、都市化が進む長沼で講が維持されていることは注目に値する

 


庚申講と十干十二支表

 

1

甲子

2

乙丑

3

丙寅

4

丁卯

5

戊辰

6

己巳

7

庚午

8

辛未

9

壬申

10

癸酉

11

甲戌

12

乙亥

13

丙子

14

丁丑

15

戊寅

16

己卯

17

庚辰

18

辛巳

19

壬午

20

癸未

21

甲申

22

乙酉

23

丙戌

24

丁亥

25

戊子

26

己丑

27

庚寅

28

辛卯

29

壬辰

30

癸巳

31

甲午

32

乙未

33

丙申

34

丁酉

35

戊戌

36

己亥

37

庚子

38

辛丑

39

壬寅

40

癸卯

41

甲辰

42

乙巳

43

丙午

44

丁未

45

戊申

46

己酉

47

庚戌

48

辛亥

49

壬子

50

癸丑

51

甲寅

52

乙卯

53

丙辰

54

丁巳

55

戊午

56

己未

57

庚申

58

辛酉

59

壬戌

60

癸亥

 

十干と十二支の組み合わせは60通りある。1時間が60分、1分が60秒というように、古今東西、暦や時間に60進法が使われてきた。

庚申(かのえさる)は十干・十二支の57番目で、それにあたる年・月・日をいう。庚申講では318回、庚申の祈りを行った「証」として庚申塔を建てた。

 

還暦60年生きて、生まれた干支に戻る本卦(ほんけ)帰りを意味する。還暦のお祝いは、60歳で「暦が還る」という通過儀礼の一つで、長寿を願う。