三社大神

 三社大神は、長沼新田の「守り神」。記録がなく、定かでないが、新田開発後、村びとによって創建されたのは間違いない。旧住民が親しみを込めて「うぶすなさま(産土神)」と呼ぶ社(やしろ)は、平成10年(1998)に南向きに改築されるまで、西を向いており、本村を挟んで奥之院のお堂と向かい合っていた。2つの聖地は、本村を観音堂と囲んで「聖地のトライアングル」を形づくり、いまも本村(旧住民)の人たちの心のよりどころとなっている。 
 ご神体は、伊勢神宮の大日命(おおひるめのみこと)、鶴岡八幡宮の誉田別命(ほんだわけのみこと)、春日神社の天児屋根命(あめのこやねのみこと)。だが、三神は、この社になく、氏子の一軒が毎年交代で当番宿となり、自宅でお守りをしている。このため、社そのものは「空宮」である。当番の氏子から次の当番に三神を引き継ぐ「オトウ渡し」は、毎年2月21日長沼町内会館で行われる秘儀 御奉射祭(オビシャ)の中心祭祀で、集落の団結に欠かせない、最も重要な祭礼といわれる 
 また、毎年10月16日には、収穫を感謝する秋の例祭が行われる。しかし、昭和40年代以前、観音堂を主会場に村挙げての「ハレの日・場」だった当時の面影はなく、いまは関係者だけの祭礼となっている。